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2005年4月28日 (木)

プルートウ:Pluto(2)/浦沢直樹(漫画)

承前 プルートウ(1)

プルートウ:Pluto(2)/浦沢直樹、手塚治虫(漫画)、小学館、2005

プルートウ-02
 浦沢プルートウの今巻では、いくつかの特徴を色濃く味わえた。
 どうしても「鉄腕アトム『地上最大のロボット』より」という背景が、読者の「知」としてうごめくのだが、私はすでに結論をだした。このプルートウは、浦沢の新作である。手塚治虫の原作は凍結された原作であり、これは浦沢が作った別個の作品である。
 だから、この作品に没頭するときは、手塚治虫を忘れるつもりだ。

カフェーでのアトムとゲジヒト

カフェーでのアトムとゲジヒト
 読後感だが、特殊な哀感を覚えた。これは20世紀少年の影響かも知れない。先回の01では主人公のゲジヒト刑事にそれを味わったが、今回は明確に「アトム」だった。こういう造形は、浦沢の奥義ではなかろうか。20世紀少年にでてくる多数の少年少女を想起するなら、誰とはいわないが、壊れていない、賢そうな、影のある少年ということになる。
 引用ページは、未来の東京(トーキョーシティ)、あるカフェ。外は雨だ。ゲジヒト刑事に注文を聞いているウェイトレスは、明らかにロボットである。
 ゲジヒトは紅茶、そしてアトムはアイスクリームを注文する。二人とも、仕草もふくめて、なにからなにまでロボットではない。浦沢も世間も明言しないだろうが、私は、この二人は生まれ育つのに、もっとも手間と金のかかった人間以上の生命と思っている。

 と、記していけば現代評的な一言居士になりがちなので、もっと平明に言う。
 プルートウ2になって、謎はますます深まり、「一体どうしたことだろう」との思いが強くなり、次の巻が待ち遠しくなる。なによりも、アトムの少年らしさが惹きつける。そして、先回はアトムがレインコートを着て、でんでん虫を見ているところで終わったが、今回はアトムの妹、ウランが振り返ったところで巻末となった。

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