プルートウ:Pluto(2)/浦沢直樹(漫画)
プルートウ:Pluto(2)/浦沢直樹、手塚治虫(漫画)、小学館、2005
どうしても「鉄腕アトム『地上最大のロボット』より」という背景が、読者の「知」としてうごめくのだが、私はすでに結論をだした。このプルートウは、浦沢の新作である。手塚治虫の原作は凍結された原作であり、これは浦沢が作った別個の作品である。
だから、この作品に没頭するときは、手塚治虫を忘れるつもりだ。
カフェーでのアトムとゲジヒト
引用ページは、未来の東京(トーキョーシティ)、あるカフェ。外は雨だ。ゲジヒト刑事に注文を聞いているウェイトレスは、明らかにロボットである。
ゲジヒトは紅茶、そしてアトムはアイスクリームを注文する。二人とも、仕草もふくめて、なにからなにまでロボットではない。浦沢も世間も明言しないだろうが、私は、この二人は生まれ育つのに、もっとも手間と金のかかった人間以上の生命と思っている。
と、記していけば現代評的な一言居士になりがちなので、もっと平明に言う。
プルートウ2になって、謎はますます深まり、「一体どうしたことだろう」との思いが強くなり、次の巻が待ち遠しくなる。なによりも、アトムの少年らしさが惹きつける。そして、先回はアトムがレインコートを着て、でんでん虫を見ているところで終わったが、今回はアトムの妹、ウランが振り返ったところで巻末となった。
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