欠伸軽便鉄道・乗車切符/森博嗣庭園鉄道
庭園鉄道の乗車切符
たどり着くまでの艱難辛苦だけで記事が数編記せるが、それはよしにして、庭一杯、家屋をぐるっと取り囲んで、そしてガレージ書斎の中までレールが敷設してあることを、実見し、驚喜した。
全員がそれぞれ客になったり、運転士になったりで、約二時間。スバルさんのいれた珈琲やら紅茶にみなみな喉を潤したあと、十数台ある電車、機関車の説明を、森先生兼作家兼運転士兼車掌兼、技師長ケンケンさまから懇切丁寧にうかがった。
それで終わったわけではない。
夕闇迫る頃になっても熱気さらず、再び、次々と薄暮の中をライト照らして機関車は走った。
それが終わっても、まだあった。
森一級機関車整備士は、黙々とすべての列車をガレージの中に、あるものは手動で、あるものは跨り自走し、あるものは、なんと無線で次々と格納していった。暗いなかで、それを手際よく丁寧になさっていく姿に、一同感動を新たにした。車両によっては本体重量45キログラムもある世界なのだ。
バッテリーや、油、レールの点検、準備・後始末、ご隠居しているわけではないのだから、この庭園鉄道お披露目にかかった労力時間は、想像するだに恐ろしい。
切符は、その記念に、わがMuの第一級宝物としよう。すなわち、Mu大帝國國寶なり。
名古屋というのは不思議なところであります。京都からわずかに30数分電車にのっただけで、言葉も空気も違う。異国なり。現代に続く日本の統一を、手早くなしとげた信長や秀吉の出身地。そして、三河の徳川も、京都からみると名古屋のご近所。柳生新影流も名古屋に伝授されたと、どこかで耳にしている。
その名古屋にものすごでっかいビルが建ったと聞いたのは、たしか京都駅ができてしばらくしてのことだった。Muはこの日、初めて双子のビルの、写真で左側を探検したが、ダイナミックな人いきれで、めまいがした。まさしく、異境のシティーであった。
名古屋。
不思議な土地である。近いうちに、大きな催し物があるようだが、みんな名古屋に来るとびっくりするにちがいない(笑)。要するに、名古屋は信長と秀吉をこき混ぜて世に送り出し、そして御三家尾張として維新を迎えた、……。
参考サイト
ミニュチュア庭園鉄道・機関車制作部/森博嗣
オープンデイ(2004年11月20日にあったオープンデイ記事ですが、長大な記録ですから頁内で「A&Bオープンディ」という検索をかけた方がよろしいようです。
追補
JR名古屋駅まで何人かの方と地下鉄をご一緒した。
不思議な会話だった。
1.Muは、名作『すべてがFになる』が巻頭の、萌絵シリーズが一番である、と宣言した。すると、女性の方が「それは犀川シリーズ」じゃぁ、ないでしょうか、と言われた。犀川&萌絵シリーズが正式名らしいが、森博嗣ディープなファンは、こういう細部に実に丁寧だ。
2.萌絵なるヒロインが年上の大学助教授犀川先生と仲がよい。勝ち気な萌絵は、犀川先生が、萌絵のことよりも研究や事件の論理に没頭することに、ときどきいらだつ。
2.1 萌絵は犀川先生に不治の病であると、嘘をつく。
2.2 萌絵は執事が作ってくれた美味しいケイキを、犀川先生に自分が作ったと、嘘をつく。
3. 課題:萌絵を許せるか!(笑ってはいけない。細部に神が宿るのだから)
3.1 女性ファン:一般に、不治病嘘は許せるが、ケイキを自製と言った大嘘つきの萌絵は絶対許さぬ。
3.2 男性ファン:不治の病などと犀川を騙し、犀川を絶望の淵に立たせた萌絵、生涯許さぬ。
4. さあ、Mu先生、あなたはどっち、と地下鉄の中で激しく迫られた。
5. Muはかくのごとく答えた、也。
「えっと、小説の中のおはなしですからぁ、私は、わかりません」(嘘っぽいですね)
以上、ここに議事録、記すなり、Mu識
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コメント
以前からMuさんが楽しみにしていた、森先生の道楽の招待の話やね。
尾張の国迄でかけて、汽車に跨がり汽車ポッポやね。嬉しそうに、切符を貰って喜んでいる。家宝にするそうな。これ、多分ね、傘張り老人じゃない浪人はMuさんを『心配』してると思うよ。
ま、あたしゃラジコン飛行機の道楽ですから、似たようなもんやけどね。
軽便鉄道なんて、懐かしい名前やね。軽便鉄道と鉄道の違いは何なんやろ?客を載せて金を頂く事に変わりはないから、何が違うんやろな~~? 欠伸(あくび)の意味は何なんやろか?
退屈な時に欠伸がでる、例えば教授会の〇〇さんとかね。
多分、小説書いていてなかなか筆が進まないので、欠伸が出て、汽車ポッポにでも跨がり気分転換する。だから、欠伸軽便鉄道かいな?
ま、子供の気分になれた土曜日でしたね。
投稿: jo | 2004年11月22日 (月) 13時07分
JOさん
子供の気分とはちょっと違う。メカの精緻さをひたすら観察、感心し、画像、動画に納めていった。
根性を試されるね。われ、またかくありなん。そう、思った。
機関車は象徴。緻密さ、根気、「なすべし」、当為、とそのようにMuは自国語翻訳しました。誤訳とか、別解釈のおそれよりも、なにかなすということは、極みまでいかないと、というよりも極みに近づくことの例示参照、そして自己応用。
Muが機関車をつくるとは想像しないで下さい。ジオラマは欲しいですがね。(ロボットの村人がいるような(笑))
Muは、物語世界をメディア変換して、模型を造りたい。しかし、それをするには、ものすごい用意、執心、そしてお金もかかるね。
ただし、時間はいいわけにならない。それが森邸の最大の収穫。
風雪梅安一家とか、そういう異様な「人類」を目の当たりにすることが、Muの世界を拡張する。
投稿: Mu | 2004年11月22日 (月) 17時22分
あ~~良かった。 又、Muの旦那が機関車を作り始め、線路を引いてマンションの屋上とか、箸墓古墳を巡る機関車とか、三輪山登山列車とか、酒船石トンネルとか、石舞台古墳行きモノレールとか、・・・・心配したどす。
まあ、趣味の人は怖い。金と時間を無尽蔵に尽くすからな~。
その、森先生も心配やね。そのうち、線路を夜中に家から外に敷設し始めるんとちゃうか?
それに比較すると私のラジコンなどは、可愛いいもんやね。
誰にも迷惑をかけないからね。
投稿: jo | 2004年11月22日 (月) 17時54分
JOさん
いつも正鵠つくね。
1.三輪山や箸墓、巻向遺跡のジョラマ(なまり)を作って、三輪山や箸墓にトンネル掘って、以前話した、ガルウィング型五色タイル泉水つき古墳系模型別荘に、トロッコ模型を走らせるのは、十分に考えられますね。年収が5千万超えた時(笑)、それが臨界点やね。
2.「線路を夜中に家から外に敷設し始めるんとちゃうか?」いまはお若くて良識あらせられますがな、お年を召して、JOさんや梅さんみたいに頑固な年齢になられると、ありがちですな。知らぬ間に、敷地境界が毎晩5センチずつ移動してね。
3.JO曰く「誰にも迷惑をかけないからね。」そのうち、燃料タンクに穴あいたままとばして、JOさんの取り巻き観覧レイディーたちの白いドレスに、ぽたぽたと、……。そして激突墜落。想像するだに、恐怖、悲惨。
投稿: Mu | 2004年11月22日 (月) 21時37分
車載カメラの面白さ
2カ月ほど前に新聞の紹介で庭園鉄道のことを知り、ホームページを覗くと予想通り(動画)があってフムフムと面白く見ました。蒸気機関車の時に、操作をする手が写っていたりして、なかなかリアルな映像ですね。
この鉄道に乗せて貰って狂喜乱舞する皇帝たちのご様子、目に浮かびます。夜になってライトがついたり、ラジコンでも操縦できるような仕組みとは知りませなんだ。
来年の1月1日からのNHKの新しいシルクロードの予告編の映像が空撮なのだけど妙にスムーズなので、変だなあと思って注目していると、モーターパラグライダーという文言が目にはいりました。なるほどねえと納得した次第。
乗り物に目をつけると見る人を乗っている気分にさせてくれるから不思議です。一種のバーチャルリアリティかもね。赤トンボはトンボやから眼が仰山ありすぎて、まだそういうカメラないんやろね。複眼カメラ、言うんですか、JOさん。
新幹線に乗ったり、軽便鉄道に乗ったり、地下鉄に乗ったり、眼の回るような一日だったようで、普段京阪の御料車にしか乗っておられない皇帝のお疲れが心配です。
投稿: ふうてん | 2004年11月23日 (火) 00時15分
鉄道の窓際は異常です。何故か、勝手に窓の外の風景が変化する。自分は動作していない、これが人間に異常な心理を与えると、誰かがのたまっていました。
どうやら、梅安さんは私のラジコンにビデイオカメラを搭載したいそうだ、そして、機関車にもビデイオを搭載したようですね。
来年のシルクロードはモーターグライダーのビデオ映像ですか?ホンマ世の中どうなってるんかね。
人に、指示ばかりせんで、自分で飛行機にビデオ搭載して飛ばしなさい! と言いたい。
投稿: jo | 2004年11月23日 (火) 00時25分
空撮はまだ難しいようで
軽便鉄道の愉快なレポートのコメントにカメラの話を持ち出したのは余計だったかも知れませんね。ただ乗り物篇だったので、つい陸海空に想像が広がりました。
以前ロシナンテで車載カメラの撮影は試みました。いえ何ということはない、助手を隣に乗せて撮らせただけのことでおます。夕刻我が家を出る時はまだ明るかったのだけど、段々暗くなり、そうなると信号やらショーウインドゥやらの明かりばかりで、映像的にはちょっとも面白くなかった。
それでもそのビデオがまあ見られたのは同時に音もはいっているからでした。エンジンの音やらギアチェンジの音やら、コレで撮れてるのかなあという人間の声やらね。いわゆる臨場感というやつ。
けれども実際の話、空撮はまだまだ大変でっしゃろ。一般人にはね。まだプロの世界や思います。
地上が一番楽なのですな。空中とか地中とか海中はまだまだ簡単にはアプローチ出来ませんね。まだまだというか当分はというか永遠にというか。キトラ古墳保存の番組にはホント手に汗握りました。
空撮に関しては、そうは言っても、携帯電話にカメラがはいり、テレビがはいる時代になってきたので、もう一息かも知れませんね。目や耳の感覚器官はある程度コンピュータでやれます。むしろ難しいのは運動能力の問題、すなわち空撮だと飛行手段そのものの方にあるのでしょうね。飛び物の大変さはJoBlogを拝見していて十分に分かっております。
空中や地中や海中の撮影は当分NHKさんにお任せしたいと思いますがいかがでしょうね。お答えにはなっていないかも知れませんが。
投稿: ふうてん | 2004年11月23日 (火) 02時57分
ふうてん (11月 23, 2004 12:15 午前)さん
オジキは夜中におきているのですか?
この投稿時間、Muは完熟睡中でした。
3時ごろに起き出して、現在午前5時前です。
外泊が嫌いというかめったにしないのは、この時間差ですね。まさか、どんなホテルが、午前4時ころ、熱くて濃い珈琲とベーコンエッグを出してくれよう。
さて。
森博嗣庭園鉄道で一番興味を引いたのが、車載搭載ビデオカメラと、巨大書斎ガレージにある遠隔モニターでした。カメラは、ある電車の前方(180度回転。あ、上下角度は聞かなかった!)と、そして後部とに二つ設置してあるのですよ。
こういうのをビデオにがっちり記録して狂喜乱舞するのは、これはMu皇帝の生来の資質。技術者魂の発露です。特に、後部にもセットしてあるのが、感動。一般に素人は前方しか気にしませんがね。
Muは昔、クルマの後部に巨大なシビィー社だったかな、広角タイプの、100Wハロゲンランプをセットしとりました。無論、前方には超巨大なバケツタイプのを二つ。バッテリーは当然寒冷地仕様。暗黒の山道でも、すいすい走れましたで。Muの運転は後方視認が山道でも4割あるんです。
(ビデオはなかった時代)
なんちゅうか、たまりませぬ。
続く
投稿: Mu→ふうてん | 2004年11月23日 (火) 05時26分
ふうてん (11月 23, 2004 12:15 午前)さん
承前
で、Muは一度目の客乗車時は座高の高さで一周分撮しました。二回目は、走行中の列車の車軸の高さで撮りました。後者は、招待客の数名も興味をもったらしく、やがて編集してお渡しせねばならぬほど、下馬評というか、期待されております。
この撮影ぶりを称して、やれ「マニア」「おたく」、そのうち熱気が移ったのか「病気の先生」とか、いわれました。でも、ふうてんのオジキ、そうなるのは必然だよね。逆に、なぜみんなそうしないかが、不思議。
ところで。疲れですが。
体力と言うよりも、Mu皇帝は大量の外部情報にへとへとになりました。CPUが追い付かない、でした。新幹線のって、おー、地下鉄のって、わー、庭園鉄道のって、ぐわぁ。往復ダブルですからね。
日頃は、研究室の深窓に瞑想する皇帝が、お召し列車以外経験が極めてすくないMuには、半日旅行が世界一周。
投稿: Mu→ふうてん | 2004年11月23日 (火) 05時27分
jo (11月 23, 2004 12:25 午前)さん
「鉄道の窓際は異常です。何故か、勝手に窓の外の風景が変化する。自分は動作していない、これが人間に異常な心理を与えると、誰かがのたまっていました。」
この感覚ようわかります。
別途、どなたさんかが「虚構世界の車窓から」ということを書いてはりました。どうにも、この異常な風景をMuはこの歳まで見てきたような気がします。
木幡研と葛野研を往復し、窓の外を景色が流れていくのを見てきました。それも、虚構だったのかな。
ああ、おそろしい、もう眠れない。
(あ、昨夜は良く寝て起きたのだから、眠る必要はないなぁ)
投稿: Mu→Jo | 2004年11月23日 (火) 05時55分
ふうてん (11月 23, 2004 02:57 午前)さん
実はMuもM1君にビデオ持たせて、三輪山のまわりを一周したことがあります。雨中の撮影は、彼に傘をさしてもらって行います。
千手観音みたいに手足が何本もあれば、あれもこれも並行してできるね。CPUの負担や、待ち行列の問題もあるけどね(笑)
投稿: Mu→ふうてん | 2004年11月23日 (火) 05時59分