« 2004年8月2(月)晴:夏の朝 | トップページ | ほうしょうかん:鳳翔館・平等院ミュージアム »

2004年8月 8日 (日)

みしまゆきお・ぶんがくかん:三島由紀夫・文学館

三島由紀夫文学館(山梨県南都留郡山中湖村平野)マピオンBB地図

 文学館が山中湖にできる前後から、気になっていた。
 いまだに未踏地である。

 今夏は『豊饒の海』第四巻『天人五衰』を精読し、なにがしかの答を出す年にあたっている。春の雪・奔馬・暁の寺と読み継ぎ、これで完了する予定である。
 文学に答のようなものがあるとは信じていないが、それでも道筋が付いたと振り返ることはできる。その道筋を先に延ばせば未踏の地に至るかもしれない。それが想定する答である。

 今朝、おおよそ半分まで読んだ。第四巻は他の巻にくらべれば六割くらいの原稿数だから、一気に読めばよいのだが、なにかしら段落や文単位で読み止まってしまう。ため息をつき、ひととき天井をながめ、起きあがり茶をすすり往時を思い浮かべ、またこの三十有余年の間、行くたびかひもといた頃の自分の感慨を思い出しながら、手洗いに立ち、また読み出す。とてものこと、巻おくあたわず一気呵成に読むというような雰囲気ではない。
 それでよいとひとりごちている。

 読書は、文学は本当に、読む時期や年齢によって相がさまざまに変わる。
 これまで、この第四巻は否定的だった。一年、二年前にも、この巻は最終数頁だけでよいと考えていた。往時は、骨だけの文学と真剣に思っていた。
 けれど、不思議としか言いようもないのだが、老残老醜の本多や慶子がことのほか好ましい人物にうつり、筆致もまだ巻半ばで、急いでいるようにも思えなかった。
 ひたすら駿河湾を行き来する船舶と、夏の雲と海とが、飽きず描写されている。

 ああ、このMuBlog記事は山中湖にある文学館の話だった。
 一度は行ってみたいものである。

参考サイト
  三島由紀夫文学館
  三島由紀夫 Cyber Museum
  『春の雪』の小説構造可視化(2001)
  『奔馬』の小説構造可視化(2002)
  『暁の寺』の小説構造可視化(2003)
  『天人五衰』の小説構造可視化(2004)

  

|

« 2004年8月2(月)晴:夏の朝 | トップページ | ほうしょうかん:鳳翔館・平等院ミュージアム »

地図の蠱惑:未踏地」カテゴリの記事

コメント

三島作品の研究と可視化はMuさんのライフワークですね。
可視化の研究に耐える事が出来る、作品であるという事やね。
何故に山中湖なんでしょうか? 三島さんの縁があるんでしょうかね? 文学分野には疎い私ですので、野暮な質問ですかね。
確か、山中湖ではラジコン仲間が水上機を夏に飛ばしているという話を聞きました。
今度、機会があれば赤トンボの仲間と水上機とゴムボートと船外機を持参して『三島由紀夫・文学館』も訪問させて頂きましょう。

投稿: jo | 2004年8月 9日 (月) 09時20分

JOさんにはいつも感心します。
なんでも、要諦を瞬間把握してしまうんだなぁ。
こまるよ。

 可視化は単純素朴だけれど、ありありと、まあレントゲン写真なみには見せてくれるから、不用意に公表できない作家作品もある。
 書きようによってはボロボロになるような作品も多いから、三島さんとか、まあ長年読んできた、構造のしっかりした作品だけを対象にしております。
 田舎宗匠がなにを言っても書いても大勢に影響はないけど、うん、限られた生だから、批判や悪口はあんまり生産的でないし、充実感もすくないから、ちょっとテストして駄目なら、闇に葬ります。
 それと、生体解剖じみてくるから、生きている方は、現在は、原則対象としません。一度だけ、森某氏さんにことわって、氏のネット上の日記を分析したことはありますが。ははは、おもしろい事がいくつかわかりました。・・・まあ、この程度にしときます。

 山中湖で三島さんがラジコン飛ばしていたなんて与太話は聞いたことないが、人間だから、なにがあるかわからない。風雪梅安一家のことも、時に唖然とするような秘密をぽろりと聞かされると、おおと言ったまま天を仰いだこともある。

投稿: Mu | 2004年8月 9日 (月) 10時05分

 『三島由紀夫文学館』のHPが、興味深いですね。

 フォーラムの中で、一番先に「自決の日」を読んでしまいました。
まだ、やっと物心がついたぐらいの年でしたが、あのテレビ映像は、今もはっきり覚えています。
でも、三島の作品を読み出したのは、ずっと後になってからでした。

 「『春の雪』の小説構造可視化」だけと思っていたのですが、Muさんは、もうすでに、『奔馬』も『暁の寺』も論考を仕上げておられるんですね。また、ゆっくり読ませていただきます。

投稿: wd | 2004年8月 9日 (月) 11時36分

WDさん
 三島さんの自決の日はあまりに鮮明なので、その後関係する資料や映像はみないようにしてきました。現場にいたわけじゃないけれど、それまでずっと(豊饒の海『春の雪』が雑誌新潮に連載されだしたころが確実な年代)彼の作品をおっかけしていましたから、心的外傷後遺症がきついです。

 私の小説構造可視化は、心的外傷を治療するための、御祓い、というか加持祈祷というか、ダイナミックな客観視作業ですね。今夏仕上げたら、総集編を予定していまして、その時は自分自身が陰陽師ですな(笑)。

投稿: Mu | 2004年8月 9日 (月) 13時43分

Muの『天人五衰論』を掲載しました。
pdfの方が原型を正しく反映しているのですが、3MB程度あるので、重いファイルと言えます。
HTMLは軽いですが、レイアウトはよくないです。

 いずれも、みなさまおひまなおりに御笑覧ください。

投稿: Mu | 2004年11月10日 (水) 17時40分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/22035/1151308

この記事へのトラックバック一覧です: みしまゆきお・ぶんがくかん:三島由紀夫・文学館:

» 『天人五衰』の分析終了 [MuBlog]
 今日、2004年9月25(土)の午後に、三島由紀夫『豊饒の海』最終巻、「天人五衰」を分析終了し、4年間かけた研究も一区切りがついた。  さすがに、学内編集者に [続きを読む]

受信: 2004年9月25日 (土) 15時08分

» 日本酒考 2003.5.X 初出 [仙台インターネットマガジン ★仙台のフリーネット雑誌]
日本に殺られる、と思った。 このままでは殺られてしまう。 ヤラれてしまう。ヤラれ... [続きを読む]

受信: 2005年5月14日 (土) 14時14分

« 2004年8月2(月)晴:夏の朝 | トップページ | ほうしょうかん:鳳翔館・平等院ミュージアム »