日本・文学・小説:死の泉/皆川博子
目次情報
死の泉
[Der Spiralig Burgruine ギュンター・フォン・フュルステンベルク.野上晶=訳]
1.生命の泉(レーベンスボルン)
ドキュメント
2.ミュンヘン
3.城
あとがきにかえて/野上晶
あとがき/皆川博子
参考・引用文献
帯情報
「週刊文春」傑作ミステリーベスト10、国内部門、本年度[]第1位
「この書を開く者は、薄暮から薄明に至るまで、息を詰めて稀有の舞台を見つめる観客となるに違いない。恐ろしくもまた魅惑的な夜の芝居を飾った、月光のような歌声は、幕が下りようと、いつまでも中空に残る。」By 北村薫
「何という長大で美しい悲劇、読む者をわくわくさせる物語であることか。皆川博子氏のすぐれた美意識と、最高レベルの物語文学とが溶け合っている。しかも完璧に。これはもはや、芸術的完成品としか言いようがない。」By 小池真理子
第二次大戦下のドイツ。
私生児をみごもりナチの施設<レーベンスボルン>の産院に身をおくマルガレーテは、不老不死を研究し芸術を偏愛する医師クラウスの求婚を承諾した。が、激化する戦火のなか、次第に狂気をおびていくクラウスの言動に怯えながら、やがて、この世の地獄を見ることに……。
双頭の去勢歌手、古城に眠る名画、人体実験など、さまざまな題材と騙りとを孕んだ、絢爛たる物語文学の極み!
Mu寸評
1/4
これから紹介する4つの<物語>の最初である。
物語はすべてドイツ。物語手記の著者もドイツ人。翻訳者は日本人。<皆川博子>は物語手記の解説者の立場になっている。
小説の構造。
調査し集めた膨大な情報を熟成させ、<物語>に変えた。
読後、時間とともに『死の泉』は神話になってきた。破壊の中から生まれた神話と思っている。
現実の情報収集→熟成→小説構造→物語→神話。
<物語>のステージまでは作者の仕事であり、最後の神話化は読者Muの中で起こったことだった。
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