« 2004/05/16(日)雨:中間報告 | トップページ | 米国・文学・諜報:神々の最後の聖戦/デイヴィッド・イグネイシアス »

2004年5月16日 (日)

「卑弥呼の鏡」中国製の可能性

三角縁神獣鏡は「三輪巻向の卑弥呼」の鏡だった(私の作ったタイトルです)

 2004年5月15(土)付の夕刊によれば、三角縁神獣鏡(魏が3世紀に、卑弥呼に贈った百枚の銅鏡をさす)の成分分析の結果、国内にある8枚の鏡のうち6枚の成分が、当時の中国製鏡と近しく、かねてより粗雑故に国内模倣とされてきた2枚が日本の他の鏡と、成分が一致したらしい。

 なお現在まで、中国では三角縁神獣鏡は未発見であり、国内の三角縁神獣鏡はすべて魏が卑弥呼のために特注で製作した物か、あるいはすべて国内で生産した可能性がある。

 今回の分析で、三角縁神獣鏡の数枚が、三世紀の魏鏡と同一成分ならば、いま日本で発掘される三角縁神獣鏡は卑弥呼の物と考えられる。その発見地はほとんど近畿なので、邪馬台国近畿説の有力な傍証となる。

 一説には渡来の呉の鏡作り技術者が、中国から輸入した銅鏡成分を用いて日本で作ったとあり、その可能性はわずかに残る。私は、そこまでややこしく説き起こす説は、現実的でないと考える。

以下産経新聞夕刊(京都版)による抽出情報

  成分分析は、主成分の錫(すず)と不純物との割合。銅鏡{錫、銀、アンチモン} 
  分析手法は、大型放射光(X線か?)によるもの。SPring8(兵庫県の分析施設)
  実施機関は、京都市の泉屋博古館(せんおく・はくこ・かん)。
  実施代表者は、樋口隆康 泉屋博古館館長。
  発表時期などは、5月15日午後、京都市で開かれた文化財科学会大会。

以下にいくつかの参考サイトをあげる

  「卑弥呼の鏡」中国製と同成分 強力X線で分析 
    (asahi.com 速報故暫くしてこのリンクは切れるだろう)
  泉屋博古館
    (ここは開館時期が一般とは異なる:また今回の発表内容が展示されるのかどうかは不明)

開館期間
3月~6月、9月~11月 (10/16(火)~10/19(金)は展示替のため青銅器展のみ)
※ 12月~2月、7月・8月は閉館となっておりますが、
団体(20名以上)のみ 予約観覧 を受け付けております。

  大型放射光施設 SPring-8(兵庫県)
  
各識者論評(産経新聞夕刊)
  金関恕(天理大学名誉教授)
    1.邪馬台国畿内説か九州説かは判定できない。
    2.中国から原料を仕入れて国内製作された可能性もある。
    3.国内、神獣鏡を分析し、データが重なれば「畿内説」が実証できる。
  河上邦彦(奈良県立橿原考古学研究所付属博物館長)
    1.成分分析は鏡の復原には有効だ。
    2.鏡の成分から産地は判断できない。

MuBlogの論評(いつのまにか、日曜考古学者)
 1.三角縁神獣鏡を100枚、魏皇帝が卑弥呼に贈ったと魏志倭人伝にあるらしい。
 2.現在まで中国で三角縁神獣鏡は発見されていないらしい。
   発見されるまでは、1が嘘か、1の総てが日本に移動したと推測。
 3.国内にある確実とおもわれてきた三角縁神獣鏡の成分が3世紀の魏鏡と同様であった。
 4.現在まで、三角縁神獣鏡のほとんどが近畿地区で発見されているらしい。
   百枚を越えているかもしれないが、残余は国内模倣品であろう。
 5.MuBlog結論:三角縁神獣鏡は卑弥呼に贈られた銅鏡100枚だろう。
   そして邪馬台国は近畿だった。

 反証について補足
  河上館長のいう、成分と産地の関係は?
  成分を輸入して、渡来人が三角縁神獣鏡を作った可能性。
  可能性としてはあるが、なぜそんなややこしいことをしたのだろうか。
  魏志倭人伝が嘘をついたのか。
  卑弥呼は、あげるといわれてもらえなかったから、面子上、渡来人に作らせたのだろうか。
  (権力と資金がないとそういうことはできなかったろう。)
  だが、入り組んでくる話で、これなら本格推理小説になってしまう。


|

« 2004/05/16(日)雨:中間報告 | トップページ | 米国・文学・諜報:神々の最後の聖戦/デイヴィッド・イグネイシアス »

三角縁神獣鏡」カテゴリの記事

コメント

私は飛行機製作に忙しいのに、こんな記事書かれると、ほっておけない。読売新聞では朝刊に記事がでていました。(16日日曜)
魏史東夷伝 倭人の条では三角縁神獣鏡とは書いていないそうやで。銅鏡百枚下賜したと。しかし、これで明らかにこの前のホケノ山古墳の発掘と桜井の古墳の木片の年輪年代法での物理年代の特定により、邪馬台国 三輪山近辺説は確定したな。銅鏡の成分が同じで中国のものではないと言うと、鋳潰したという事やな。鋳潰して卑弥呼のデザインの要求を受けて、製作した事になる。銅が倭の国には無かったのか?違うな、誰が舶来の神聖な鏡を鋳潰して、倭国のデザインにせんといかんねん?無理筋やな。鉄挺を南朝鮮から輸入して刀とか武器を作ったけど、銅鏡は祭祀で使うもんや。きまりやな。

投稿: jo | 2004年5月16日 (日) 14時53分

JOさん
 午後はずっと午睡して、目が醒めたら読書しておったぞ。
「無理節」ってええことばやな。
 いまね、例のほら私が最近いれこんでいる関裕二さんの『検証 邪馬台国論争』を、大笑いして読んでるんだ。
 大笑いというのは、関さんをけなしているのじゃなくて、魏志倭人伝の陸行水行に100年間おどらされてきた、日本の秀才たちの、いまから見直すとげらげらわらいだしたくなるような、つまり「無理節」を、丁寧に書いてあるんや。

 ところで本文にあげた河上先生はね、飛鳥石造物では結構私フアンやから、あんまり誤解せんといてください。

 とはいうものの、三角縁神獣鏡が国内製作なら、なんで原料輸入してまで鏡を作ったのかね。原料は日本にもあったやろに。うむ。無理節だろうね。それに、JOさんの以前の説で、魏は海上国倭とよしみを通じたかったから、気前よく「遠慮せんともってって、卑弥呼ちゃん。もっとほしいもんあったら、言ってね」。そりゃ中華と自尊する国柄やから、なんでももってけや、のノリだと思う。
 まあJOサンとこ行ったら、「おう、机でもラジコンでもワインでも、嫁はんでも、娘でも、好きなもん持って帰れや」ぐらい、いいそうやね。(いやいやJOさんは中華じゃなくて、国際人どす)

投稿: Mu | 2004年5月16日 (日) 19時10分

どう考えても邪馬台国論争は決まりです。どうしても箸墓古墳の年代が考古学的に時代が合わないという、問題があった。けど、この土器編年法というのは比較相対年代なんやな、物理的に235年とか出ない欠点があった。けど、今回の一連の物理学の力を借りて、50年から100年時代を古く遡る結論になったんや。考古学者は偉い、新しい発掘があると以前の自分の説を曲げて許されるんやな。科学的や。しかし、最近の科学の進歩は凄いと思う、鉛とか色んな物質を放射能で計測するんやな、原料となる鉱物は地球で生まれた時から変化するんやな~、今までは炭素だけが手がかりやったそうやけど、今は名古屋大学とか今回の研究施設では、物質の元素単位でそいつの歴史が判るにや。素晴らしいと思う。浅茅原御大の夢は証明されたんや!と同時に、三輪山の日本の故郷は守られたと思う。卑弥呼はんよかったね。今まで本籍があちこち言われて落ち着かんかったやろな?安心してください。

投稿: jo | 2004年5月16日 (日) 19時37分

JOさん
 風雪梅安学会では、邪馬台国三輪山纒向説も定説になったがな。
 はて、この業界も学会だらけやから、なかなかに。

 日本の首都は京都や、というくらいに確定的な事実はなんだろうね。一説に親魏倭王印ともきいたが、ありゃ、ちいこいから井戸の底でも富士山の上でも運べるからね。

 ところでいま、NHKスペシャルで米国のロボット自走カーを見ておりました。カーネギメロン大学のが12キロ走った。最高速度75Km程度で、砂漠でした。カーブでセンサーは正確だったけど、ハンドル操作がミスって脱輪。延々と空転させてタイヤから煙が出ておりました。
 自走ロボットは、足だね。普通の車でもタマコロ一個を脱輪させただけで動かなくなる。キャタピラーは不経済で燃費喰うからな。ホーバークラフトみたいに、浮遊形式が良いかな。
 

投稿: Mu | 2004年5月16日 (日) 22時01分

せんせ、好きだね!わちきも観てました。実は自動制御の車の研究はかなり商用レベルで進んでいるんや。だけど、高速道路を安全に走行するという前提での話やな。今回のように砂漠地帯での軍事用目的とは違うけどね。ホ-バ-クラフトの原理は面白いね。脱輪したら浮上すればええんやね。けど、アメリカは何処まで軍事大国として突き進むんやろ?心配やな~。鎖国してどうせ田舎もんやからのんびり暮らせば幸せなんやかけどな~資源は豊富やし、国土は広いし日本のように国際的貿易しないと生きて行けない民族とは違うんやけどな~。

投稿: jo | 2004年5月16日 (日) 22時16分

  以前、Muさんが「北九州からきた学生は皆、邪馬台国が北九州にあったと信じておる。」と話されていたことがありますが、その理屈で言えば、うちの子供は邪馬台国は「大和」にあったと教えられているんだろうか、と思ったことがあります。
 「邪馬台国があった場所について、北九州説と大和説があるの知ってる?」
「知ってるよ。」
 「先生は、やっぱり奈良に住んでるから、大和説の方が有力だって教えはるの?」
 「そんな、あほなあ~。どちらでも鏡が見つかってるから、本当のところはわからないって。まあ、金印さえ見つかれば、どこにあったかわかるらしいけどね。金印発見の可能性から言うと、海のない奈良より、北九州のほうが有力だって!」
 「金印って?志賀島で見つかったのと違うの?」
 「もう~、お母さんには言ってもわからへんから、もうこの話やめとく。」と話を打ち切られてしまいました。

 塾の考古学に詳しい先生が、毎月「大人の歴史」というのを連載されておられるのですが、その中で「箸墓古墳物語」というのがありました。そこでは、魏志倭人伝の記述を信じるのなら「箸墓古墳」は卑弥呼の墓ではないことになる、と説明されておられます。

 「卑弥呼の鏡」の記事は、奈良では5月15日夕刊、トップ記事で取り上げられていましたが、まとめが河上さんの「三角縁神獣鏡は中国鏡としては、大きすぎ、つくりも雑で、日本で大量生産された鏡だと考えざるをえない。」との反証でした。だから、地元は「まだ、はっきりしたところわからんのやな~。」という感想を持ちました。

 Muさんの意見に水をさすようなことを言って、すみません。でも、将来「トンデモ学説」を発表されるときに、反証はたくさん知っておく方が、有利ですものね。

投稿: wd | 2004年5月17日 (月) 08時34分

なんせこの論争は大昔から議論されている(江戸時代? 本居宣長とか・・)問題なので、結論をだすと寂しくなるので、歴史としては永遠に謎にしておいた方がいいのかも知れません。私も、浅茅ヶ原先生も本件で考古学者、歴史学者さんの領域を侵そうとは考えていないですね。ロマン、楽しみとして扱っています。子供に教える時はどうするか? 江戸時代から延々と議論されて来た事を伝える、そして何故こんなに執着してきたのか、その背景について教える事になると思います。自分で考える事を子供に伝えると思いますね。謎は沢山有る方が子供が将来、謎ときに挑戦できる訳ですよね。今回の銅の成分分析とか年輪年代法とか科学の分野が考古学を激変させていますね、花粉分析もそうですね、これはあくまで道具としての利用であり、最後は人間が考える事になるでしょうね。

投稿: jo | 2004年5月17日 (月) 09時25分

  そうなんですよね。塾の先生も、3世紀の前半に「倭」という国に「卑弥呼」という女王がいたこと以外、その歴史はほとんどわかっていない、だからこそ、いろいろな学者がいろいろな学説を考えだすわけです、とおっしゃっていました。
 「最後は人間が考える」っていい言葉だなと思いました。
 なんせ、古代史のことになんか、全く興味関心のなかった私が、Muさんの記事を読み、Joさんの話を聞き、子供にもバカにされながらも、いろいろ考えたんですから・・。また、いっぱい古代ロマンのこと知りたくなってきました。

 子供の総合学習でついていった「葛城王朝」も、まだ謎のままです。当麻寺から二上山に上り、太子町へ抜けて叡福寺にも行きました。私の古代史の知識と言えば、子供の代わりに「葛城王朝は本当にあったのか?」というレジュメを代筆し、そのとき黒岩重吾の「古代史の真相」という本を読んだぐらいです。

 まあ、ボチボチやっていきます。(あれ?これ誰かの口調に似てきた?)

投稿: wd | 2004年5月17日 (月) 10時01分

JOさん
Wdさん
 ただいま隣の大学から葛野に帰還。なかなかに、朝の8:50から、3時過ぎまでの授業ですから、こたえます。月曜にしんどいことをかたづけると、あと楽ですが。
 また水曜は、朝2つに、午後は会議と、魔の曜日です。
 授業は名目90分単位ですから、3つも重なると息ができませんね。

 さて邪馬台国卑弥呼ロマンですが。
 天理や櫻井市の中間あたりをうろうろしても、卑弥呼饅頭とか、邪馬台国衣装とか、みかけません。地元は冷静なのでしょうね。
 橿原考古学研究所なんかも、派手なことはおっしゃらない。我が国ではずっと邪馬台国や、考古学関係は新聞の第一面を飾る重大ニュースですからね。

 日曜考古学者としては、時々掘りたくなりますが、それこそトンデモ話になるから、じっと新聞や図書でなぐさめております。
 いつか、確定事実がでてくるのを待っています。JO説だとマキムク邪馬台国確定説ですが、それならそれなりに一大ページェントというか、お祝いを奈良県や國がしないと、なんとなく落ち着きません。
 邪馬台国話も過去折々のイデオロギーが絡んでいたようですから、研究者が慎重になるのは当然ですね。

 と、研究室机上でだんだん白昼夢におそわれてきました・・・

投稿: Mu | 2004年5月17日 (月) 15時45分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/22035/602734

この記事へのトラックバック一覧です: 「卑弥呼の鏡」中国製の可能性:

» 三角縁神獣鏡はただの銅鏡か [MuBlog]
 何故かしら寝覚めがわるくて、つまり眠れなくて、三角縁神獣鏡のことを考えていた。  どこかで(多分産経新聞京都版の17日ころの朝刊)河上先生が粗雑な鏡と言ってい [続きを読む]

受信: 2004年5月19日 (水) 02時58分

» 小説木幡記:2008/05/13(火)黄金色の三角縁神獣鏡 [MuBlog]
 昨夜眠る前にNHKの「ニュースウオッチ9」という番組を覗いてみた。TV欄で「三角縁神獣鏡」と出ていたからだ。  この番組を過去見た覚えがない。日々のニュース解説のようだが、たっぷり1時間とってあった。最初は中国の大地震の映像解説だった。他にも一杯あったが、頭には入らなかった。  漸く9時40分ころから、目当ての話題になった。 邪馬台国の概略  最初は、邪馬台国の近畿説X九州説の簡単な話題提供、魏... [続きを読む]

受信: 2008年5月13日 (火) 06時10分

« 2004/05/16(日)雨:中間報告 | トップページ | 米国・文学・諜報:神々の最後の聖戦/デイヴィッド・イグネイシアス »