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2004年3月13日 (土)

ふたがみやま:二上山(にじょうさん)

二上山(奈良県北葛城群當麻町) マピオンBB地図 大津皇子墓

 この二上山、大津皇子墓は、決して未踏地ではない。しかし、最後は20代に行ったきりだから30年は経過している。原則として、20年以上再訪していない地図は、「地図の蠱惑:未踏地」と「地図の風景」の両方にカテゴリーを設定する。

 こんなことを断るために記録するのではない。二上山は奈良へ、三輪山へ、飛鳥へ、吉野へ行くたびに必ず眺めてきた。だからいつも行っていたともいえる。
 記憶の重層がはげしく、イメージが乱舞し、一つ一つの階梯を下り深層に行くのが息苦しくなる。皇子大津よ、あなたは雲にのり龍となって虚空に消えたのか。結局はそこへまで行ってしまう。

 折口が『死者の書』で著したイメージは、當麻曼荼羅よりも冒頭の、

「した した した。耳に傳ふやうに來るのは、水の垂れる音か。たゞ凍りつくやうな暗闇の中で、おのづと睫と睫とが離れて來る。」

 こんな情景だった。いつかまた二上山の雄岳に立ち、東に向かい、20キロ彼方の三輪山を見る機会もあるだろう。
 夜麻登志宇流波斯。

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コメント

 昨日は、雲一つなく青空が広がっていました。

 明日香からは、二上山がくっきりと見え、とても美しかったです。
明日香から西の方に見える、手前の畝傍山(うねびやま)が、ゴツゴツして男性的なのに対して、そのはるか向こうの、二上山の稜線は、なだらかでやさしいものでした。

 二上山は実際に登ると、岩がゴロゴロして、急な山道ばかりですが、遠くから見る二上山は、いつ見てもおだやかで美しいな、と思います。

 稲淵の棚田・石舞台の白いヒガンバナ・遠く見える二上山・・
どれをとっても、心洗われる一日でした。

 

投稿: wd | 2004年9月16日 (木) 11時13分

WDさん
 同じ奈良県でも、奈良市と明日香とでは少し風とか地勢の雰囲気が異なると思います。

 にしても。神話では神武さんは紀伊から上陸し、都は橿原からだんだん(多少行きつ戻りつしつつ)北行し、藤原京、平城京、平安京ですね。

 二上山に都はなかったけれど、河内と明日香の間だから、いろんな歴史を眺めてきた山でしょう。

投稿: Mu | 2004年9月16日 (木) 14時49分

 二上山は、いろんな意味で、起点となる山だったそうです。

 春と秋の彼岸の頃には、あの山の間に、日が沈むとか、
二上山が見える方角によって、土地の境界が決められていたとか・・、
あの地域に住む人々には、大切な山だったような話を聞きました。

投稿: wd | 2004年9月16日 (木) 17時08分

WDさん
 典拠はわすれましたが、二上山の影の領域がお祭りに参加するかしないかの地域を定める話もどっかで読みました。

投稿: Mu | 2004年9月16日 (木) 17時47分

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