小説『犬王舞う』の定稿にこと寄せて
連載を終えて
この三月末に長編小説『犬王舞う』の連載を終えて、これをblog「犬王舞う/浅茅原竹毘古」として公開しました。
若干、この完成までの道のりを記しておきます。
初稿は『犬王』として、平成十二(2000)春ころから起稿し、翌年一月に完成しました。原稿用紙で546枚でした。改稿は『犬王舞う』として、平成十四(2002)の六月に丁度600枚の作品に変わりました。それからずっと、犬王は置いたままにして、後述する第二作『蛇神』を書いていたのです。
昨年の夏、突然思い立ちまして、処女作とも言える『犬王舞う』をblogに載せて世界に公開しようと考えたのです。こういうきっかけはよくわかりません。大抵、深夜突然起きあがり、激情にかられて断髪したり、場面転換を図るというのが、これまでの人生でしたから、blog化したのもその一つだったのでしょう。
小説のblog化については未経験なので、その道の若い人に相談し、考えた上、結局携帯電話でもPCでも閲覧できるシステムを使うことにしました。そこで、先年(2005)の九月からauのサービスを使って連載を始めたのです。大体一回に5~6枚の掲載でした。そのうち、文字が小さく読みにくさもあったので節単位の累積版を考え、未公開なままMuBlogの亜種としてまとめてきました。
こんど終わって数えてみると原稿で561枚になっていました。先述の改稿分はあれこれと600数十枚に膨れていましたから、60枚ほど刈り取り削除したことになります。これを『犬王舞う』定稿2006としました。
小説を書き出したきっかけ
『犬王』を書き出したきっかけは、前世紀末に学生達が森博嗣さんや京極夏彦さん、その他ありとあらゆるミステリを読んでいたそばにいたので、なんとなく染まりだしたわけです。私自身もそれまでも今も、横溝正史さん、内田康夫さん世界に遊んでいた経験があったので、あっけなく斬新な、新時代のミステリにひたりこんでしまいました。
ですがおもしろいからと言って、書き出せるはずはなく、その前史がありました。24歳ころに『夜麻登志宇流波斯』という、今から思うととても小難しい長編小説を作りました。これはミステリではなくて、なんというか実験的な気むずかしいものでした。それは30歳ころに縁あって刊行されました。
さりながら手元には一冊しか残っておりません。国立国会図書館には納本されたので、残っているかも知れませんが。
さらにその前史はというと。もう、覚えておりません。もともと科学少年でしたから、考えてみると人生は不思議な紆余曲折を経るものだと思うところです。小学校の頃には、上皿天秤で薬品を量り、ビーカーに入れて攪拌し、出来合をながめていた、化学少年でもあったのですから。
肝心の『犬王舞う』の内容
これはですね。やはりネタバレになりますから黙っておきます。ひごろ、よそさまの作品をあっけなくネタバレ話して、ひんしゅくをかう私でも、さすがに自作となると、恥ずかしくてなにも言えなくなってしまいます。
いつぞや、ミステリ好きの人達の中で、何の気無しに、某有名著名な作品の結末を、ぽろっと話したところ、座が一瞬零下・絶対温度に下がったことがありました。眼前の方が丁度、読むところだったようなのです。
もちろん、軽蔑の嵐、ふくろだたきにあいました。
ところで~。
つまりこの『犬王舞う』は、二十歳半ばの聡明で異能を秘めた若き小泉佐保、大学図書館司書の冒険譚なのです。
昔のアメリカ映画を見ますと、往時の女性司書という仕事は、尼さんと同じ、一種の世捨て人扱いされていたようです。どういう意味で世捨て人かというと、往時の感覚では、女性司書は修道尼と同じ、結婚なさらない方が多かったらしく、一種変わったタイプとして描かれていたのですね。
さて現代の図書館司書はどうなんでしょう。
よくわかりません。
わからないながらもそう言った、司書という職業に関係した、まるで起こりそうな「事件」をもとに書いてみたつもりです。
もちろん、現役司書の目に触れると、ネタバレふくろだたきどころじゃないかもしれませんが、まあ「小説」というかフィクションとは、そう言う物だと割り切りましょう。
【小説関連サイト】の説明
この四月上旬からいくつかのblogを開設しました。わかりにくいところもあるので、解説いたします。
どのblogのサイドバーリストにもあげた【小説関連サイト】のことです。
(ただし、「携帯&PC」からはauone社の方針に従って、リンクを設定しておりません。)
000 MuBlog
001 連載中・携帯&PC
010 犬王舞う/浅茅原竹毘古
020 蛇神祭祀/浅茅原竹毘古
・001 連載中・携帯&PC
これは第二作『蛇神祭祀』(はむかみ・さいし)を四月上旬から新規に、毎週、火木土日、連載していきます。
(このblogの底にある古い記事は『犬王舞う』です。)
特徴は、携帯電話で読めることです。もちろんPCでも読むことが出来ます。
さらに、一番新しいものが読めることです。
通勤の友にどうぞ。
・010 犬王舞う/浅茅原竹毘古
これは、『犬王舞う』定稿2006の保存版です。
まとめてお読み下さい。
・020 蛇神祭祀/浅茅原竹毘古
これは、「001 連載中・携帯&PC」に掲載した連載分を、節単位でまとめて、累積保存している所です。
今秋には、このblogが『蛇神祭祀』定稿2006になる予定です。
目次も整えていきますから、一週間に一回程度、御覧ください。
今後の予定
この四月(2006)上旬から『蛇神祭祀』(はむかみ・さいし)を掲載し、初秋にはなんとか完成させるつもりです。
そのあとは、年末年始にかけて、佐保の冒険、その3「巨石の森」を連載開始予定しております。
そのあとは~、まあ佐保冒険シリーズでは、その4、その5、まで考えておりますがぁ。
どうなんでしょうね(笑)。
どうぞ、MuBlog同様、おひきたてくださいませ。
メルアドレス<小説関連>
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平成18年4月1(土)
浅茅原竹毘古(Mu) 識
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